ピューレで作るボルシチ

七久里農園ノート

Column & Recipe

七久里農園ものがたり 1

「信州」と呼ばれる長野県は南北に長く、雪がたくさん降る県北部の「北信」地方に対し、雪が少なめで温暖な県南部は「南信」地方。北信と南信ではその風土や気候に大きな違いがありますが、七久里農園(ななくりのうえん)はそんな南信地方の中でもとりわけ「長野県の南端」に位置している温暖な飯田市山本地区の農業生産法人です。  
 
 飯田市は東に南アルプス、西に中央アルプスの山々を望み、ふたつの山脈の間を流れる天竜川に沿った伊那盆地(伊那谷)の最南端に位置する人口10万人弱の町です。 
 
 飯田市の中でも七久里農園がある「山本」という地区は、郊外にある静かな耕作地帯。標高620m前後の「適度に高い場所」に広がるいくつもの畑は中央アルプスを背にした緩斜面とともに南東方向を向いており、まさに太陽の恵みを1日中、丸ごと受け取ることができる絶好の野菜づくりエリアです。

広々とした大地のあちこちにトマト、ネギ、キュウリなどの畑を展開するほか、新たに2022年からはビーツの栽培も始めました。

さて、七久里農園のすぐ近くには「七久里神社」という地元では有名な神社があり、農園の名称はその神社にあやかって名付けられています。
余談ですが、に七久里神社の秋祭りは「裸祭り」とも呼ばれていて、盛大な奉納花火の中、注連縄(しめなわ)を身にまとった半裸の男衆が火の粉を浴びながら駆け回る奇祭として知られています。

七久里農園はトマトハウス1棟からスタート

 七久里農園は代表取締役である伊藤貴裕社長と奥さんの友子さん(ともに愛知県出身)の新規就農により、2005年にその歴史をスタートさせました。 
 
「自分たちの手でおいしいトマトを作りたい」。 
 
トマト好き夫婦のシンプルな思いで始まった農家「伊藤農園」(七久里農園の前身)は、愛知県内の農業法人から独立・移住した後、わずか1棟の農業用ハウスでトマトを作り始めて以来、17年を経て年商1.7億円を売り上げる堅実なアグリ企業に成長しました(2022年現在)。 
 
売上の主力であるネギ栽培は夏の最盛期に1日平均1.7トンを連日出荷するほどまでに生産力を拡大しています。 
  
 独立当初からこだわるトマト生産も続けながら、新たにヨーロッパ生まれの根菜「ビーツ」の栽培と加工品生産にも着手した七久里農園。 

伊藤社長は「栄養価が高いし、色鮮やかな赤い見た目もとても魅力的」とビーツの販路拡大にも大きな可能性を感じています。

※note「七久里農園」2022年12月3日コラムより編集&転記